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一心寺公開講演会


講演会の告知ポスター

2016年12月13日、名古屋市天白区八事の一心寺さんにて、『てらこやぁ!(寺子屋)』というシリーズとして開催された公開講演会の様子を取材してきました。

今回の講演者は、報道写真家として活動しておられる吉田尚弘さん(1991年生まれ、愛知県出身)で、演題は「イラク最前線潜入記録」。

小雨の降る夜の7時からの開催でしたが、参加者は30人ほど、年齢層は20代から70代くらいの方々で、お寺のイベントとしては、どちらかといえば青壮年男性が多い印象を受けました。


写真をスクリーンに映しながらのお話

講演会は二部に分かれ、第一部は講師の吉田さんが撮影された写真を使ってのお話。導入としてフィリピンのスラムでの生活の実態レポートがなされました。マニラの中心地が背景に映し出されるようなゴミの山で残飯を集め商売をしている人たちの暮らし、墓地スラムと呼ばれる場所で生活している人たちの生活、そして、そこで亡くなった少女の葬儀の様子などについて紹介されました。亡くなった子どもも状況が整っていれば十分助かるいのちであったと語られました。想像を絶する生活環境です。


聴衆の皆さん

次いで、今年イラク北部のクルド人自治区の正規軍に従軍して取材をされた貴重な写真を見せていただきました。最前線の戦闘地域の緊張感がうかがえる一方で、兵士らがサッカーの試合を見て楽しんでいたりのんびりくつろいでいる写真などもあり、私たちが「最前線」から受けるイメージとはまた違う生活感もうかがわれます。スラムでも戦闘地域でも、生きること暮らすこととはどういうことなのか、そういうスポットの当て方をされていることに興味深く聞かせていただきました。


講師と住職とのトーク

第二部では、参加者からの質問を受けながら吉田さんと住職とのトーク。スラムの人々と交流する方法や戦地に入ることの苦労など聴かせていただきました。報道カメラマンとしての決断、準備、生き方など、吉田さんご自身の真摯な姿勢が印象的でした。


住職へインタビュー

この企画の基本的な考え方や取り組み状況について、ご住職・前田健雄さんにお話を伺いました。

前田さんは住職になる前は、開教使としてハワイに赴任されており、その後大谷派名古屋教区教化センターの職員として勤務しながら、お寺のあり方を模索されていたとのことでした。門徒に限らず多くの人にお寺を理解し、そこに集ってもらうためにどうすればいいのか、そしてお寺のイベントとしてどのように取り組むのか、自分が本当にやっていけるのかなど、実行以前に三年間考え続け、その中でむくむくと湧いてくる思いを大切に、五年前から具体的な取り組みとして開催されているとのことでした。

定期的な行事としては、定例の法話会や婦人会の他に、今回の「てらこやぁ!」(どちらかといえば大人向けの講演会や落語会)、週末の午後を中心に取り組んでいる「みんなのつどい」(親子が楽しめる人形劇や紙芝居などのような企画)など、月に三、四回ほどのイベントを開催され、さらに来年からは、正信偈の会も立ち上げる予定だそうです。門徒の方やボランティアの方の協力も得ながら、住職が企画運営をなさっています。住職曰く、「僕はイベント好きで、こんな形で人が集まってくれるお寺があっていいと思ってやっています。お寺毎にそれぞれの住職さんが考えるお寺のあり方もいろいろなあり方があっていいのかなあと思っています。」とてもお忙しい中でも充実感をもって取り組んでいる様子が印象的でした。

(取材担当:太田・山口)