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寺族研修の報告(2009年1月、3月)

研修会の様子

親鸞聖人の750回御遠忌を2年後に控え、出版物や新聞紙面に「親鸞」の文字が数多く登場するようになりました。大物思想家の「親鸞聖人の歴史についての評論」や、有名作家による小説『親鸞』が書き下ろされるなど、門信徒に限らず一般の方々も親鸞聖人についての関心が高まっていることを感じます。

そこで寺族研修では御伝鈔で語られる親鸞聖人の90年の生涯を、歴史学の見地に立ち資料をもとに検証し直す作業をとおして、親鸞聖人の実像にせまる学習を行いたいと考え、講師には歴史学が専門の同朋大学・安藤弥(あんどうわたる)先生をお迎えし、2カ年度にわたり総計4回の研修を実施することにしました。

今年度は2009年1月15日と3月2日の2回にわたり、午後7時から9時まで光円寺(昭和区福江)を会場として実施されました。

安藤先生は最初に、今回の学習がどのような視座で行うのかを明確にするために、親鸞聖人のことを伝えている歴史的史料を、親鸞聖人との関係性の深さや、史料が作成された年代が何時なのか等を吟味し、第1次史料から第5次史料まで5段階に分類し、歴史学的手法に乗っ取って今回の学習を進めていくことを最初に明確にされ、ここから学習はスタートしました。

本論では、御伝鈔で語られている親鸞聖人の生い立ちや経験なさったとされる出来事を一つ一つ丁寧にあたりながら、現在残されている資料を基に歴史学的分析を加え、どこまでが学問上歴史的事実と認定することができ、又どこまでが伝説というレベルなのかを詳らかにしていく学習が行われました。

今年度の研修では親鸞聖人の半生、御絵伝でいうと2幅分の学習を行ったわけですが、我々僧侶が語ってきた親鸞聖人の生涯は、実は曖昧な部分が多く、伝説というレベルを出ない事柄の多さに驚くと共に、しっかりとした歴史の学習の必要性を今まで以上に感じさせられた研修会となりました。